メンバーも手ほどきに慣れてきたので、
今回から上げほどき、引きほどきの後の追い打ちを導入する。
つかまれた腕を上にほどき、引いてほどき・・・。
で、どうする? というわけである。
上げほどき顔の高さに掲げられた手は
鎖骨から相手を真っ二つにするかのごとく斬り下ろす。
引きほどきたたまれた手は
相手の霞を狙い鉢を吹き飛ばすかのごとく振り払う。
体重の6%を占める片腕の重量を使った打ち。
その効果を出すにはやはり脱力が必要で、その良い稽古にもなるだろう。
が、そのような新しい動作を追加すると、“打ち”の方に気持ちが傾いて
今までできていた手ほどきが相手とぶつかるようになってしまう。
脳内にスキーマが形成されるまでの辛抱です。一つ一つの動作を丁寧に。
その後両腕で捻じりあげられた手を体さばきで返す、を初練習だ。
これも“有利なポジションを探す”のアプリケーション。
捻じりあげられて不自由な自分の腕を、いかに身体的・精神的に放っておけるか。
そうでなければ相手腕二本、こちら一本、
しかもスタートから不利な体勢を挽回できるはずがないのだ。
こういう練習をしていると、つくづく私は師匠と稽古環境に恵まれたと思う。
「これ、相手の方が力強かったらかからないんじゃないか?」
ユーチューブなどで見かける古流柔術の型稽古は、そんな感想を抱かせるものが多い。
なにせ“硬い”のである。
そこへいくと私の柔術は中国武術と古流武術を修める石井敏師範の流れ。
本来硬かったはずの柔術の技。それが師匠の中で中国武術の働きと統合され、
球の動きを秘めた相手とぶつからないものとなった。
そしていま、さらに私の工夫を加えて手元にあるというわけ。
“それは伝統的な流派の姿をゆがめているのではないか?”
それはそうかもね。ただ私の言えることは
“あらゆる伝統も始まった時には前衛だった”
ザッツオール。
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