(今度の舞台はここ)
私の年代の男子にとって、ミヤギさんは心の師と言える。異論は認めない。
1984年の映画『The KARATE KID』(邦題『ベストキッド』)は
男の子に勘違いをさせる作品だ。
舞台は米国。沖縄空手の達人である日系人のミヤギさんは、
ひょんなことからダニエルという青年に空手を教えることになる。
おいおい勘弁してくれよC級映画かい?と侮るなかれ。
監督:ジョン・アヴィルドセン、音楽:ビル・コンティという
『ロッキー』のゴールデンコンビである。
で、ミヤギさんただ強いだけではない。
色々あって沖縄から出奔して、人生の裏も表も知り尽くしている。
「ダニエルさん、一番大切なのは“バランス”だ」
強さだけを求めるダニエルさんにミヤギさんはそう諭す。
ミヤギさんの言うバランスとは
体のバランスや攻守のバランスというせまい意味ではない。
精神のバランス。人と人とのバランス。自然とのバランス。
ミヤギさんは空手を通して
真に人生に必要なことをダニエルに教えていく。師である。
ミヤギさんが「鶴の構え」の稽古をしているところなど、
そのバランスを体現しているかのようなシーンだ。
「鶴の構え」。
劇中ミヤギさんが、海岸に打たれた杭の上に片足で立っている。
両腕は左右に大きく開かれ、
膝を曲げたもう一方の足は体の前面に折りたたまれている。
まるで羽を広げた鶴のように。
この「鶴の構え」、ダニエルさんがクライマックスで使用する他、
全世界にバカなフォロワーを誕生させた。
杭、ポールと見れば立ち上がって「鶴の構え」をしてしまうという病気である。
そして映画公開から20年経った2005年。
時々発症しながらも共存してきたこの病が私の脳髄を侵してしまった。
「もうマカオタワーのてっぺんで「鶴の構え」するしかないな・・・」
何がするしかないのか!? 意味が分からないが
佐々木青年のチャレンジは始まった。
(つづく)
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