これは全国五千万人の武術愛好家の賛同を得られると思うのだが、
「年明け一発目の套路は干支の動物で」という案件がある。
架空を含む動物の風格を盛り込んだ形意拳や心意六合拳を嗜む者は
十二形拳や十大形とよばれる型のセットから選び放題である。が。
戌年。今年はいただけない。
辰年や寅年はいうに及ばず、子年や丑年にだってあるのに、
戌・犬の技というものが私の修行歴には見当たらない。
思い返してみると困るのは卯年、未年、戌年、亥年の四種類。
中国には犬食文化があるという。
猪は中国語で豚の意味なのでそのままではないにしても、
この四種類は「食べられてしまう方」だから套路がないのかなあ・・・。
と納得しかけたがオイ酉! あんたの優遇っぷりは何!?
謎は深まるばかだ。というわけで、結局普通に柳生心眼流の型を行った。
がやってる最中にこれが大正解だと気がついた。
心眼流中伝に「霞の構え」というものがある。
こちらの教えが「犬が鼻にしわを寄せて威嚇するように」ときたもんだ。
実際、姿勢と表情と呼気とで相手を威嚇する。
だから今年は多めに威嚇しておいた、という話。
Comments