(最新の雑誌と22年前の資料)
久しぶりに月刊『秘伝』を購入した。今号の特集は「武道・武術×マンガ」。
このテーマに関して敬愛してやまない二人の作家、
藤田和日郎先生と夢枕獏センセイのインタビューが掲載されるというので
指折り数えて待っていたのだ。
さて、獏センセイはインタビューでこう語る。
“格闘小説もリアルなふりしてファンタジーを描いている。
そのファンタジーですら誰が最強なのかわからない。
描いている本人にもわからないんだよね”と。
だが私は知っている。
22年前の時点で、獏センセイの生み出したキャラクターで誰が一番強いのかを。
それも獏センセイ本人の口から聞いたのだから間違いはない。
話は1995年にさかのぼる。
その年、大正大学文化祭講演会に夢枕獏センセイを呼ぼうとという動きがあった。
大正大学は仏教大学であるからして、大学側の条件は「仏教の話ができる作家」。
当時獏センセイは仏教世界を融合させた日本SF界の金字塔、
『上弦の月を喰べる獅子』をものしていたし、
ちょうど自身で撮影した幾度とないチベット、ネパール行の写真と
般若心経を戯曲化して併載するという写真集『聖玻璃の山』を出版したばかり。
これは、ということで招聘に蠢動していたサークルの中心人物が私の友人だった。
彼の依頼で講演会特別パンフ『大獏発』(私の命名だ)に文章を寄稿したり、
他大学の私にいろいろと裏でかませてもらったことも懐かしい。
友人曰く、
「講演会最後の質問コーナーで佐々木を当てるから気の利いたやつをたのむ」
とのこと。
みなまで言うな。獏センセイに訊きたいことはいつも心の中にあるぜ!
そして文化祭当日、講演会会場。
壇上に獏センセイが現れたのだった。(続く)
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