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“さ”はさくらの“さ”

  • 執筆者の写真: 北区堀船カンフークラブ
    北区堀船カンフークラブ
  • 2017年3月21日
  • 読了時間: 2分


警杖

(こんなのも普通に売ってるのねえ・・・)

「あの・・・ちょっとすみません!」

弾んだ息とともに声をかけられ振り返ると警察の方。

「はあ、なんでしょう」

「そのね、“けいじょう”みたいなものを持って通り過ぎられたから、

 駅前から追いかけて来たんです」

「けいじょう・・・ああ警杖ですか」

確かに私の片手には剥き身の赤樫六尺棒が握られている。

好天のこの週末、わが街王子の駅前公園でのことだ。

「これは何に使われるんですか?」と警察官氏。

「武術の稽古道具です。いま稽古の帰りで」と私。

「武術のですか。こうやって警察官に声をかけられたことってありますか?」

「いやあ、けっこう長くやってるんですけど初めてですね」

棒や杖に関してはそうだ。

その昔、防刃グローブをはめた屈強な警察官二人に交番に連行されたことはあるが。

(機会があったら書こう。面白いエピソードなので)

「お名前とか分かる身分証明書見せてもらっていいですか?」

「いいですよ、疾しいところは一つもないのでしゃんじゃん見せちゃいます」

保険証を差し出す。

「免許証はお持ちですか?」

「免許はないです」

「じゃあ念のため照会しますからちょっとお時間いいですか?」

これからランチの店を物色しようとしていた昼下がり、

どんな展開が待っているか楽しみなので否はない。

警察官氏、肩口の無線機を起動。どこかに連絡を取り始める。

照会って、何をどうやって紹介するのやら?

符牒と専門用語の中に理解できる言葉がちらほら混じる。その中に、

「・・・佐々木さん。さくらの“さ”・・・」

ははあ、日本語にもフォネティックコードみたいなのがあるのね。

アルファ、ブラボー、チャーリーみたいな。

「・・・了解。お待たせしました。結構です。ありがとうございました」

「いえいえ。ところで照会というのは?」

警察官氏曰く、免許を持っていない→登録機関に照会→免許を持っている

→疾しいところがあるんじゃないか、ということを調べるんだそうで。

「お忙しいところ失礼しました。ではこれで・・・」

「あっ、ちょっと待って・・・」

質問:警察官の方が練習しているその警杖の技は、〇〇流とかあるんですか?

回答:いえ、〇〇流とかそういうのではないですね。

質問:では警視庁制定型とかそういう?

回答:そうでもなくて、われわれ柔道とか剣道を学ぶわけですが、

   そういう師範が一緒に教えてくれるんです。昇級試験とかもあって。

あんまり油を売らせては悪いのでお礼を言って解散。

たまにはこんな一期一会。

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