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登ってみた⑦ざわ・・・ざわ・・・

執筆者の写真: 北区堀船カンフークラブ北区堀船カンフークラブ

はじめての場所に行ったらまず土地勘を求めるのが私だ。

それが異国の、それもカジノとなったらなおさらだ。

ことによったら生死を分けるかもしれない、と周りを真剣に見渡す。

フロアは円形。ギャンブルが行われているのは私の立っているフロアから一段低い。

数か所にある階段で降りられるようになっている。

私のフロアには背後のそれを含め、シャバへの出入り口が数か所。

それと博物館のチケット売り場のような有人の窓口。

ははあ、カジノと言えばチップ。あすこで交換するのだな?

もう一度カジノフロアに目を移す。

ガイドブックにあったように、マカオのカジノは庶民の社交場だ。

私を含め普段着の老若男女が楽しんでいる。ゲーセン感覚なのだろう。

あちらにはスロットマシーン、あちらにはルーレットと、

映画などでおなじみのギャンブルが軒を連ねている。

階段を降り始める。

(マストクライムまでの短期決戦だ。悠長なことを言っていられない。

ディーラーと勝負することになるギャンブルは言語の壁かあって不安だ。

ブラックジャックとか、そもそもルールを知らないバカラとか。

とはいえスロットマシーンは妙味がない。

ルーレットは人だかりが多くて参入のタイミングが分からない。

なんかこう分かりやすい、シンプルなやつ・・・)

ギャンブルフロアに降り立つと近くのテーブルから歓声が聞こえてきた。

数人の人だかりの向こうに正装したディーラーらしき女性が見える。

ひょいと首を突っ込んでみる。

テーブルの上は直線で区切られた多数のマス目。そこに描かれているのは・・・

「サイコロ?」


いくつかのサイコロのキャラクターと目の合計らしき数字、そして大、小。

(チンチロリンということか)

ガッシュ! ガッシュ!

ディーラーが金属製の装置を押し込む。巨大な霧吹き器の押し口のようなそれ。

途端に周りの男女がチップを置き始める。複数個所に賭けてもOKなようだ。

ディーラーの発声によってベットが止む。

霧吹き器を覆っていたカバーが外されると、ガラスで密封された容器の中にサイコロが三つ。

ざわ・・・ざわ・・・

(なるほど、日本の丁半博打と同じ出目が確定してからのベット。

つまりこのギャンブル、運否天賦ではなくディーラーとの心理戦。

おそらくグズは消えていく理の勝負!)

というわけで、このギャンブル「大小」に取り付くことにした。簡単そうだったので。


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